学生無年金障害者問題について


 2002年7月27日、坂口力厚生労働相は、国民年金が一部任意加入だった時代に未加入のまま障害を負い、障害基礎年金を受けられなくなった「無年金障害者」のうち、当面、学生 だった人に限り、救済する意向を固めたと報道されています(朝日・毎日・読売新聞等)。現在の障害基礎年金の給付水準の半額程度(月額4万円程度?) を、税を財源に年金に代わる福祉手当として支給する考えと伝えられます。
 無年金障害者は全国に約12万人と推定され、障害を負った当時、任意加入だったため未加入だった主婦や学生国籍要件のため加入できなかった在日外国人強制加入の対象だが、未加入だったか保険料を納めていなかった人、に大別されます。
 厚労相はこのうち、学生無年金障害者について「学生は他の人と比べ、働いて収入を得る能力が乏しく、保険料を支払うことが難しかった」と判断、救済を急ぐことにしたとされています。
 しかし、厚生労働省内には「蟻の一穴になってしまって、誰も保険料を払わなくなってしまう」(年金局幹部)と抵抗もかなりあるようで、省内のコンセンサス作りはこれからです。
 1991年4月以降は強制加入となり、その後、本人に資力がなければ支払い猶予を認める「保険料納付特例制度」が新設されたため、無年金問題は生じないとされています。支給総額も数百億円にのぼることが予想されるため、今後かなりの紆余曲折が考えられます。
 東京PSW協会は、東京無年金障害者をなくす会に団体加入・委員派遣し、無年金障害者の審査請求を支援してきました。
 2001年4月社会保険審査会が、学生無年金障害者29名の一斉請求を棄却したため、7月各地の地方裁判所に国を被告として一斉提訴を行っています。東京では6名の原告のうち2名が精神障害者で、病院や地域のPSWが支援活動を継続しています。
 無年金障害者への救済を求めてきた私たちの立場からは、今回の厚生労働大臣の発言は、大きな前進であると評価できます。
 ここでは、この無年金障害者問題に係わる国会(衆参両院厚生労働委員会)での審議状況を掲載しました。




国会審議【無年金障害者】


■154-参-厚生労働委員会-17号 2002年07月09日


○辻泰弘君 民主党・新緑風会、辻泰弘でございます。
 まず本論に入ります前に、今日まで私この委員会で御質問をさせていただきまして、前向きな御答弁をいただいておることにつきまして現状を簡単に御説明いただきたいと思います。
 一点は、坂口大臣がこの委員会におきまして、五月二十一日、今国会最終までにこういうふうにしてはどうかという私の案を示したいとおっしゃっておられました無年金障害者の問題。(中略)現状また今後の対応を御説明いただきたいと思います。

○国務大臣(坂口力君) (前略)無年金障害者の問題でございますが、これなかなか検討いたしておりますけれども難しい問題であることは間違いがございません。しかし、この委員会でお約束をしたことでもございますしいたしますので、今鋭意進めているところでございます。今国会終わりますまでというともう七月一杯までしかないわけでございますが、この七月中に坂口私案なるものを出させていただきたいというふうに思っている次第でございます。もう少しだけお時間をちょうだいをしたいと思っております。


■154-衆-厚生労働委員会-15号 2002年05月29日


○中川(智)委員 よろしくお願いいたします。
 次に、私は、無年金障害者の方々の問題について質問したいんですが、なぜこれを質問するかと申しますと、やはり保険料が払える最低限度の生活保障、これは、国はしっかりとやるべきだし、国の責任ですべきだと思います。
 今、障害を持ちながらなおかつ無年金状態に置かれていらっしゃる方は、学生無年金、主婦の方の無年金の問題、そして在日の無年金の方がいらっしゃいます。
 先日、ハンセン病元患者の方々の追悼式が、坂口大臣も御臨席の上行われました。ハンセン病の解決に向けてたくさんの話し合いを重ねて、ようやく大臣の御英断、リーダーシップのもとに、この一年がたちました。その大きな契機になったのが、国の訴訟断念であり、坂口大臣でした。大臣が、本当に辞表を胸に、国は訴訟を断念すべきとの判断を下されました。本当に深い敬意を持っております。
 また、今回も、無年金障害者の問題に関しましては、ずっとこの間、厚生労働省の、言葉は悪いですが、たらい回しという状況の中で、全く解決が図られない。そればかりか、前にも進んでいない。相変わらず、取り残され、見捨てられた状況に置かれています。この状態を打破するためにも、しっかりと取り組んでいただきたいと思うのですが、五月二十一日の参議院の厚生労働委員会において、大臣は、私の案を今国会中に出したいという旨の発言をされました。無年金障害者の解決をうたいました障害者プランの最終年ということもありまして、大臣のその言葉につながったのだと私は高く評価しております。
 大臣、この間の御答弁は、ただ単に無年金障害者という表現をされましたが、無年金に陥った状況、原因、さまざまございます。私は、どのようなケースの方も、障害を持っていながらなおかつ無年金というのは、本当に生存権そのものさえ保障されない状態に置かれている、これはもう言葉にできない状況である。御本人、家族のその苦しさというのは大変なことだと、想像にかたくないわけです。
 しかし、その中でも、きょう質問させていただきます在日の無年金の方々は、制度に入りたくとも全く入ることができなかった人たちの問題です。国が加入を拒み続けた方々です。それを大臣は御存じかどうかと考えます。在日外国人、在韓国・朝鮮人の障害者の方と、そして高齢者の方です。難民条約批准によりまして、外国人にも初めて国民年金加入の道が開かれたわけなんですが、そのときとられるべき措置がとられなかったことによって生まれた無年金の方々です。
 沖縄や小笠原は、本土復帰の際に、無年金にならないように経過措置がとられました。さまざまな政党、もう全党にわたって、きっちりとした経過措置がとられるようにということで、難民条約批准の一九八二年から二十年も経過していますが、いまだにその状態が変わりません。――わかりました。では宮路副大臣、聞いておいてくださいね。
 在日の無年金状態に置かれている人たちは、今、高齢者は七十五歳以上で、障害者の方々は四十歳以上になっています。親子で無年金という状態が生まれてきています。前置きが長いのですが、やはりここの制度、なぜ無年金状態になったかということを知っていただきたいという思いで説明をさせていただいています。
 年金制度という社会保障、障害者問題と在日の方々の問題をどうお考えになるのかということを伺いたいのです。これはやはり、裁判でも言われていますように、政治的な解決、それ以外にないというふうに私は思いますし、諸外国では、定住外国人に対して社会保障上差別をしてはならないというのがもはや常識です。大臣が帰っていらっしゃってからで結構です。ちょっとこの間、猶予をいただけませんか、速記を……。

○宮路副大臣 それでは、大臣がちょっと席を外されましたので、私の方からかわって御答弁申し上げさせていただきますが、先般来、中川委員の御指摘に対しましても、それから参議院で行われた質疑の際もそうでありましたが、今国会の終了までに大臣として案を示したいというお話を、御答弁を大臣の方からされておられるわけであります。
 障害者の方が無年金となった理由については、今中川先生からるるお話がありましたようにいろいろなケースがあるわけでありまして、したがって、それらが、社会保険方式の制度のもとで、そういったそれぞれの方がどのような事情で無年金となったかを十分分析をさせていただいて、そしてそれを踏まえて、基本的には、現に障害者となられて年金を受給していない方々にどのように対応することが必要かという観点から、この問題については目下、総合的にいろいろと検討をさせていただいている、そういう段階でございます。

○中川(智)委員 それでは、今の御答弁ですと、無年金状態に置かれている方すべて、無年金の障害者の方々に対しての一定のきっちりした案を出されるという、そのようにとらえてよろしいのでしょうか。

○坂口国務大臣 失礼しました。
 今、副大臣から御答弁をさせていただいたとおりでございまして、全部がそれができるかどうかは別にしまして、全体をにらんで検討させていただきます。

○中川(智)委員 今、国では一切それに対しての、無年金の方々に対しての手当てというのはなされていないんですが、約七百の自治体で、在日外国人障害者、高齢者への特別給付金制度が行われています。これは御存じだと思います。私が住んでおります兵庫県では、県下全市町がこれを実施しております。大阪、北海道、滋賀、鳥取、島根県においても全市町村で実施されています。給付金額には差がありますが、ほぼ同じ制度内容でございます。在日外国人以外には、国外で障害を負って日本に帰国した方も一部含みますが、対象者はほとんど在日の方です。

 なぜ自治体が取り組んでいるのかと申しますと、これを放置できない現実があるからなんです。無年金状態に置かれている方を放置できない現実があり、市町村がそれに対してきっちりと取り組んでいる。でも、これは本来、国でやってほしいということで、毎年のように全国知事会、全国市町村会などから、本来国で解決すべきという要望が上がってきています。また、日本弁護士連合会からは、一九九四年に、これは憲法違反だ、国際人権規約違反との意見書も上がっています。まさに、国の立法不作為が問われている、そのように考えます。
 この十数年の間、この国会の場でも、私ども社民党、そして大臣の所属なさっている公明党、そして民主党、共産党、各党からこの問題がしっかりと取り上げられています。民団、総連の方々も粘り強く国に要望をされています。そして、一九九四年には四十万人にも上る署名も出されています。私は、やはり特別立法などに盛り込んでいくこと、坂口大臣が大臣であるときに一定の案をきっちりお示しいただいて、そしてその後にきっちり、だれがなっても、大臣のやっていくという姿勢に対して忠実に解決を図っていく、その今国会にぜひともしていただきたいと思いますが、その案を出されるということ、そして解決をしていくという決意のほどを一言お伺いしたいと思います。
    〔鴨下委員長代理退席、委員長着席〕

○坂口国務大臣 お約束しましたとおり、検討させていただきたいというふうに思っておりますし、その結果は皆さんにもお伝えをしたいと思っております。

○中川(智)委員 よろしくお願いいたします。(以下略)



■154-参-厚生労働委員会-11号 2002年05月23日


○辻泰弘君 (前略)私、三月二十八日の質問のときに、無年金障害者の問題についてお聞きしまして、大臣から、今も一生懸命考えてやっていると、もうしばらく時間をちょうだいしたいと、こういう御答弁があったわけでございます。また先般の、二日前でございましたが、この委員会におきまして、今国会中というようなめどで大臣としての御所見を示されるような御答弁もあったわけでございますが、私はせっかく大臣が検討しようとおっしゃっていただくわけでございますから、その無年金障害者の対象に、任意加入のころの学生のみならず、やはり国籍条項があって、昭和五十七年の一月一日より前に国籍要件があって加入できなかった、そういう無年金の在日外国人の無年金障害者の方々のことも含めて御検討し御提言をいただくようにお願いしておきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(坂口力君) この無年金障害者の問題につきましては、かねてからいろいろの御指摘もあり、何かいい方法がないものだろうかということでいろいろの議論も実はしているところでございますし、またいろいろ検討もしてもらっているところでございますが、今御指摘のこの国籍条項によりますところの国民年金の適用を除外されている在日外国人もこの対象にすべきだという話は少しまた別の話でございまして、現在のところ私はここまで議論の対象の中に入れているわけではございません。
 この問題はこの問題として、社会保険方式の制度の下でそれぞれの方がどのような事情で無年金になったのかということを、これは十分分析をしなきゃいけない問題だろうというふうに思っています。いろいろのこれは条件があるだろうというふうに思っておりますので、そうしたことをもこれは整理を一遍しなければどうするかということにはなかなか至りにくい、もう少しそうした意味での整理はしなければならないというふうに思っております。
 今のところ、無年金障害者の問題についてはどうしても解決する方法がないか、いい方法を見付けたいと、そんなふうに思っているところでございます。




■154-参-厚生労働委員会-10号 2002年05月21日


○井上美代君 この機会に私は障害者の無年金問題についてお聞きをしたいというふうに思います。この法律によって障害者の社会参加や自立が支援されることを強く願っておりますけれども、障害者の自立ということに関連して無年金障害者の問題についてお聞きします。
 今年の一月の新聞報道で、大臣が今年じゅうに無年金障害者の問題を解決するという発言をされております。そして、この委員会では、ほかの議員の質問に答えて、検討しているところとか、そしてまた、いましばらく時間をちょうだいしたいとか、このように答弁をされております。しかし、どこでどのように検討されているのかということが私たちには見えていないわけなんです。
 現在、どこで検討が進められているのか、そのことを教えていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(坂口力君) 一言で言いますと、難航いたしております。
 お辞めになりました黒岩議員の御質問に対しまして、検討しますというふうに私お答えをしたわけでございますが、省内いろいろとそれ以後、これはもう検討はあちらこちらでいたしております。
 ただ、年金局の方は、いや、うちの関係じゃございませんと、こう言うわけでございますし、それから障害福祉部の方も、いや、それはうちの方じゃございませんというふうに言いまして、私の言いますことがたらい回しになっているわけでございますけれども、しかし、いつまでかたらい回しされておりましてはいけませんので、今国会最終までにこういうふうにしてはどうかという私の案を示したいと思っております。

○井上美代君 障害保健福祉部と年金局との話が出たんですけれども、そこがうまくいっていないというお話でした。そこがうまくかんでいくという見通しも持ちながら、これから大臣の案も出していくということをお答えいただきましたので、私はやはりしっかりとそこをかんでこの難航しているところを乗り切ってほしいというふうに思っています。
 九六年からの七か年計画で障害者プランが進行しております。このプランでも無年金障害者問題を幅広い観点から検討するというふうに明記をされているわけなんです。今年は最終の年度ですからプランに沿った施策について評価が行われるだろうというふうに思っておりますが、その点いかがでしょうか。
 その際に、この間の検討がどうだったのか、論点は何だったのか。それから、当然記述されるものというふうに思っておりますけれども、大臣、この辺まとめで記述があると思いますけれども、どのようにお考えでしょうか。

○国務大臣(坂口力君) 障害者の今後の問題につきまして、今後の十年計画というのを作っていかなきゃならないわけでございますが、そうした中で障害者基本計画あるいは障害者プランの策定ということが今後行われるというふうに思います。
 こうした中にこの無年金者の問題が書かれているということも事実でございますけれども、これは内閣府だと思います。それで、これは内閣府が中心になってやっていただくわけでございますが、私は、厚生労働省の中でうまく結論の出なかったものが内閣府の中でうまく結論が出るということもなかなか難しいんではないかというふうに思っておりまして、これは、内閣府は内閣府でございますけれども、やはり厚生労働省としてこういう案はどうかということを示さなければ私はいけないというふうに思っている次第でございます。

○井上美代君 大臣のおっしゃるとおりだと思います。内閣府が次のプランを作っていくというふうに思うんですけれども、その土台はやはり厚生労働大臣のところで作られるわけなので、そういう点ではもう是非、この中に幅広い観点から検討するという、幅広いというのがあるものですから、この障害者の無年金問題がもう本当にどこかへ行きはしないかというので皆さんはすごく心配しておられるんですね。だけれども、先ほど御意見も出しながらやっていくということでしたので必ず入るというふうに思っておりますけれども、よろしくお願いをしたいと思います。(中略)
 いずれにしましても、今度の会期中にという御答弁いただきましたか。是非、私は一日も早く実現ができますことを願っております。よろしくお願いをしたいと思います。
 無年金障害者の方々というのは、年金給付という結論を切実に求めてこれまで一生懸命それを政府にもお願いし、厚生労働省にもお願いをしておられます。そのためにどんな問題をクリアすることが必要か、そしてまた年金支給の概算はどうなるかなど内容を示してほしいと、具体的に示してほしいと、こういう関係者の強い要望もあるわけなんです。年金支給となるかどうか、これは障害者の尊厳にかかわる問題であると、そしてまた、自立して生活することへの大きな支援となるものだと私は強く考えております。
 関係者からの意見は十分に聞き、どれだけの重大な問題にふさわしく検討を進めてくださることを強く要望をいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。




■154-参-厚生労働委員会-5号 2002年03月28日


○辻泰弘君 坂口大臣は一月十一日の記者会見において、国民年金が任意加入であった学生時代に未加入のまま障害を負った無年金障害者には現行の法律では救えない、政治の大きな問題であり、今年じゅうにも結論を出したいとの発言をされておりますが、どのような救済策を講じていくお考えなのか、お聞きしたいと思います。

○国務大臣(坂口力君) この問題、実は、昨年だったと思いますけれども、幾人かの方から御質問をいただきまして、検討したいということを私申し上げたわけでございます。しかし、なかなか難しくて、今もやっているわけでございますが、現在のところまだ結論が出ておりません。
 年金制度というのはロボットみたいなものでございまして、決められたとおりにしか動かない。人間のように少し温かみのあるように自由自在に動けるということじゃございませんで、決められたことはちゃんとやります、決められたとおりにしか動かないものですから、掛金のしなかった者にはこれは支給されないという厳然たる大原則があるわけでございまして。
 それじゃ、この年金以外の方法でこの人たちを何とか救う方法がないのかということも実は検討をしているわけでございますが、これらも含めて、それじゃその、やっておりますけれども、年金以外の人に対してそれじゃ出すということになりますと、それじゃもう年金掛けなくてもいいじゃないかというまた一方で話にもなるということもあって、年金制度というものを将来ともに十分に機能させるということを前提にしながらこの無年金者の、無年金障害者の問題をどう決着するかというのは非常に難しいことだということが、私もやっております中でだんだんとよく分かってきたわけでございます。
 しかし、昨年も申しましたとおり、制度として難しいというのはそれはそのとおりだというふうに思うんですが、年金もなく、そして障害者になられた方がおみえになるという現実はいかんともし難い。この現実があります限り、政治はその人たちをどうするかということを考えるのは当然であると思っておりまして、なかなか一年間で結論をよう出せなかったわけでございますが、今も一生懸命にいろいろのことをやっておりますので、もうしばらくひとつお時間をちょうだいしたいと思っております。




■154-衆-厚生労働委員会-4号 2002年03月20日


○金田(誠)委員 (前略)
 ちなみに、我が国においても、年金審議会の答申などで、いわゆる無年金障害者の方々、この方々には福祉的な措置で年金を給付するようにという答申が何度か出ていると思うんですね。しかし、いまだに実現をしていない。
 繰り返しますが、スウェーデンのこの最低保障年金部分は、全額国庫負担、保険制度の枠外でございます。イギリスのペンションクレジットも同じでございます。こういう仕組みをこれから導入していかなければ、こういうゼロから五十万円超までというような年金制度というのは余り世界にも例がないし、物価スライドで引き下げることになっている今の仕組みが機能できないような、三年連続して特例法をつくらなきゃならないような、そんな状況になっている。
 大臣、よく御理解いただけると思うんですけれども、いま一度このスウェーデン型、あるいはまた別な日本型というのもあるのかもしれませんが、いずれにせよ、最低保障年金という考え方を導入する、これはもうぜひ前向きに検討すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。再度、大臣、お答えをいただきたいと思います。

○坂口国務大臣 後でまた詳しいことを局長が話をすると思いますが、そうした意味で、日本の場合にも基礎年金制というのができ上がっていて、そこだけはちゃんとひとつ確保しましょうよということになっていると思うんですね。
 だから、先ほどの一万円というのは、どうして出てきたのかちょっと私もよくわからないんですけれども、年金をかなりの期間おかけにならなかったといったようなことがあったので、そういうふうになったのではないかというふうに思います。
 したがって、制度としては、日本の中にも、その基礎年金だけは確保ができるような形になっているわけでありますから、その枠組みに当てはまるように皆さん方に御努力をいただけるかどうかということにかかっているわけでございます。それでも、なおかつそこにお入りをいただけない人たちに対してどうするかという話はまた別途の問題として出てくるだろうというふうに、私も率直に言ってそう思いますが、お入りをいただく以上は、そうはならないということになっているというふうに私は思います。
 もう少し細かな数字、局長から。

○金田(誠)委員 いや、いいです、時間がないものですから。
 大臣、年金を、掛金を掛けていれば、国民年金でもこの最低保障ぐらいのところまでは給付になるわけです。スウェーデンでも、所得比例年金というのはあるわけです。ですから、これで一定レベル以上になっている方には問題ないわけで、それはイギリスも同じなわけですよ。
 しかし、若いころ、どういう事情があったにせよ、例えば無年金障害者という方もいらっしゃいますけれども、いずれにしても、最低の生活レベルを年金が下回るような状態のときに機能するのが最低保障年金という制度。これは諸外国、かなりやっているということでございます。ここに踏み込まないと無年金障害者の問題も解決しないんじゃないかというふうに思って、今回わざわざ、もう百も御承知だと思うんですが、この中身をパネルにして持ってきたところでございます。またいずれ、機会を改めて、この点については議論をさせていただきたいと思います。




東京精神保健福祉士協会  事務局
〒169-0072 東京都新宿区大久保1-1-2 富士一ビル4F 日本障害者センター内
tokyooffeice@tokyo-psw.com
事務局体制を整備中のため、お問い合わせはメールのみでお願いいたします。