「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の
医療及び観察等に関する法律案」の概要


1 目 的

 

心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に対する適切な処遇を決定するための手続の定め


 継続的,かつ,適切な医療

 その確保のために必要な観察及び指導

病状の改善及びこれに伴う同様の行為の再発の防止を図り,もってその社会復帰を促進する


2 入院又は通院の決定手続


   

 殺人,放火等の重大な罪に当たる行為について

 不起訴(心神喪失又は心神耗弱を認定)

 心神喪失を理由とする無罪判決

 心神耗弱により刑を減軽された有罪判決(実刑を除く)

   



地方裁判所の審判
   

 処遇の要否は,裁判官と精神保健審判員(精神科医)の合議体で,その意見の一致したところにより決定する。精神保健参与員(精神障害者福祉等に関する専門家)の意見を聴く。

 検察官の申立てにより,審判を開始する。

 対象者には,弁護士である付添人を付する。

 不起訴処分を受けた者については,対象行為を行ったこと等,本制度の対象者であることの確認を行う。

 鑑定入院命令を発し,専門家である医師が,心神喪失等の状態の原因となった精神障害のために再び対象行為を行うおそれの有無について鑑定する。

 検察官,付添人等は,資料を提出し,意見を陳述する。

 保護観察所による生活環境の調査を行うことができる。

   



処遇の決定

 医療を受けさせるために入院をさせる決定(入院決定)

 

   → 指定入院医療機関における処遇へ

 入院によらない医療を受けさせる決定(通決定)

 

   → 地域社会における処遇へ

 決定に不服の場合は,高等裁判所に抗告できる。


3 指定入院医療機関における医療


 入院決定を受けた者は,厚生労働省令で定める基準に適合する指定入院医療機関(国公立病院)において,入院による専門的医療を受ける。

 保護観察所は,入院中の対象者について,退院後の生活環境の調整等を行う。

 裁判所は,対象者,保護者又は指定入院医療機関の管理者の申立てによって,退院を許可することができる。

 

    → 地域社会における処遇へ

 指定入院医療機関の管理者は,原則として6か月ごとに,裁判所に対し,退院許可の申立て又は入院継続の確認の申立てをしなければならない。

 

    → 退院許可の決定 地域社会における処遇へ

 

    → 入院継続の確認の決定


4 地域社会における処遇


 通院決定を受けた者及び退院を許可された者は,厚生労働省令で定める基準に適合する指定通院医療機関において通院治療を受けるとともに,保護観察所(精神保健観察官)による精神保健観察に服する。

 保護観察所は,指定通院医療機関,都道府県知事等と協議の上,処遇に関する実施計画を定める。

 保護観察所(精神保健観察官)は,対象者の円滑な社会復帰を図るため,関係機関及び民間団体等との連携の確保に努める。

 精神保健観察の下での通院治療を行う期間は,3年間とする(裁判所は,通じて2年を超えない範囲で,この期間を延長できる。)。

 裁判所は,対象者,保護者又は保護観察所の長の申立てによって,精神保健観察の下での通院治療を終了することができる。

 裁判所は,精神保健観察を受けている者につき,保護観察所の長の申立てにより,(再)入院決定をすることができる。



 

 

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